2 雨の高野山              10/18 晴れ

京都へ近づいたころから 雨が降り出した。

新幹線で大阪へ出、難波から南海電鉄で高野山へ。

今から交通費に使うのはつらいけれど、

慣れないうちは、慎重なルートを取ったほうがよさそうだ。

 

高野山へ寄るにはかなり迷った。

ずっと行って見たかったのだが、何しろお金のことが心配。

しかし、後で悔やむのはバカバカしい。

 

「のたれ死んだら それまでよ!」

 

 

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難波から高野山への2時間は、退屈しないですんだ。

耳慣れない関西弁も、何でもかんでもめずらしい。

 

「せいもん払い」と言う看板に首をひねり、

「指をつめないように」というドアの注意書きに笑った。

 

何より前に座った女の子が目を楽しませてくれた。

 

年は私より1つか2つ下だろう。

大きなうるんだ瞳、広い額、鼻筋が長く、少ししゃくれたあご、

唇は薄めだがいい形。

美人と言うのではないが、みやびた感じで、平安文学の中から出てきたよう。

 

それが赤い ピカピカした長靴で電車に乗っていると、

何だか素敵で、ちぐはぐな気分にさせられて 愉快なのだ。

 

見られているのを気にする風でもないのをいいことに、

カメラのファインダー越しに

後の景色と絵になるなと思いながらと、ずっと覗いていた。

 

とうとう降りていった。

そして、ホームから窓越しに、ちらりと侮蔑のまなざしを送って寄越した。

 

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「君峠」「御幸辻」「学文路かむろ」 とゆかしい駅名を過ぎ、

ケーブルに乗り換えて 極楽橋、バスで千手院前まで。

 

宿坊の案内所で聞くと、

遍照尊院ではユースホステルもやっていると言うので、

そこに泊まることに決める。

夕食、朝食付きで650円。

 

 

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ユースに荷物を預けて、奥の院まで歩いていく。3kmくらい。

 

鬱蒼とした杉木立が続き、戦国大名などの墓がある。

一人旅は写真に困る。通りがかりの人に、撮ってもらう。

 

 

燈籠堂では、沢山の燈籠が棚の上に並べられている。

燈籠の中の灯は、集めればかなりの明るさになるだろうと思うのだが

一つ一つ限られた空間に閉じ込められているせいで、堂内は暗い。

 

点在する黄色い光の後の闇が、

そのまま異次元につながっているような気がして来る。

 

戻りかけたら、二人連れの女のお遍路さんに会う。

足ごしらえまで白装束。

 

 

 

ユースは、男女二人ずつで、他に団体の人が泊まっている。

 

会う人は、たいてい 「どちらから?学生?お一人?」 と聞いてくる。

みんな取調べのようで、同じで面白い。

 

お風呂は広くて気持ちよかった

夕食はもちろん精進料理。

 

今日はこれでおしまい。

土砂降りの雨になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 高野山

 

高野山は、登ってしまうとなんてことはない、寺の街。

途中の車窓からの小雨に煙る幽谷の風情が良かった。

今度は歩いて登ってみたい。

 

少し紅葉が始まっていた。

  

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