25 海路宿毛へ        11/11 快晴   歩いた距離:10キロ

昨日とはうってかわって上天気。

ゆうべは大風になるかもしれないということで、

ほとんど船はあきらめて陸路のつもりでいた。

 

船に乗る前に、大急ぎで、写真を撮ってきた。

波は静かで、きのうはとは全く感じが違う。

沖ノ島もくっきり見えた。

 

9時40分柏島発の船に乗る。

途中、橘浦など幾つか港を経て、宿毛の片島へ。

 

始めは船の揺れが気になったが、すぐに平気になった。

海がきれい。紺碧の海。

光の具合か、水平線のあたりの空がぼおっと白っぽくなっているので、

なおくっきり線を引いたように見える。こんなに深い紺色の海は初めてだ。

 

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船にすてきな少年がいた。

 

少年は揺れる船の上、双眼鏡で山を見ていた。

日焼けした顔。

土で汚れた上着の下には海と同じ紺色のトレーニングシャツが見える。

 

二人の大人が地図を手にして指さして教えている。

大人と少年の間を、双眼鏡が行ったりきたりする。

山の上に立ててきた標識を確認しているのだという。

水路の目印になる標識だろうか。

こうやって彼の頭の中に海の地図が描かれていくのか。

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11時45分片島到着。気持ちのいい船旅だった。

 

 

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お昼を食べて、39番まで歩く。

延光寺着2時40分。

 

お寺では、車の接待は断らない方がいいと言われた。

感じのいい和尚さんだった。

 

 

早かったが、へんろ宿の若松屋へ上がる。

クレゾールの匂いのする宿である。

訪ねたとき若松屋は留守で、

子供に聞いたら、「木をこりに行っている」 とのこと。

まさしく 樵だ。木を切りにではないのがおもしろい。

 

 

夕方4時近く槌間さん到着。

ひょっとしたらと思っていたが、予想どおり。

今日は竜串からとのこと。

 

夜、槌間さんと一緒に、若松屋のご主人の話を聞く。

「けれども・・・・」「・・・・でありましたが」「まことに・・・・」

「・・・・なされませ」などと

非常に丁寧な、変わった話し方をする人だ。 語り口調というか・・・

 

自分の気持ちがいい、これと思ったお寺、厭味のないお寺で、何か願い事をするといいという。

私は太龍寺で願えばよかったか。

何を願おうか。いい仕事?結婚?健康?

 

西端栄女史と平端さんの話も出た。

昔の宿の話も色々聞く。薪代八銭の木賃宿だったとか。

「この道だけは、わかりません。お経も知らない人が霊感を得たり、

かといって、何度お遍路しても何も授からなかったり。」

 

何かをつかみたい人が「引かれる」のだと言う。

何かをつかもうと、みんな回るのだと言う。

偉い実業家の名前も出て、

その人も、全く信心と言うものから縁が遠かったのに

八十八ヶ所を回ったのは、引かれたからだという。

 

「何かをつかもう」 「引かれる」 ともに、私の心の内を見透かされたような言葉だった。

こんな言い方をした人は今までいなかった。

 

 

槌間さんには、今度あったらあれもきこう、これもきこう、と思っていたが、

結局半分くらいに終わってしまう。

川端康成の資料を集めているとか。おもしろい人だ。

 

 陸路を行くと、宿毛までは、25キロくらいはある。

寄り道して遊んだから、早くへんろ道に戻らなければと海路を選んだ。

 

 

 

左奥が沖ノ島

沖ノ島まで渡れたら、いうことなかったのだけど・・ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

39番延光寺山門 

↓(クリックで拡大) 

 4日ぶりの札所。この寺で、土佐修業の道場は終了

 

 

 

 

 

 

若松屋

古くからの遍路宿で、名物宿といった風らしい。

 

 

当主の話が、案内書にもいろいろ書かれていた。