9 西の高野 太龍寺     10/2 曇りのち雨   歩いた距離:19キロ

南小松島からバスで20番の鶴林寺へいけるというが、

もう一度列車で立江まで戻り、そこから歩くことにする。

 

7時10分にユースを出たつもりだったが、時計が遅れていて

駅へ着いたら、汽車は出てしまったところだった。

 

昨日からどうも ついていない。

乗り物に乗ってはいけないという弘法大師のいましめかと思ってしまう。

 

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次の列車を待つことにし、駅長さんと話していると、

「おへんろさん、おへんろさん」と男の人が手招きする。

 

そばへ行くと、お納経の足しにでもと言って

小銭入れからお金を出してくれる。

 

柿やみかんの接待は何度かあったが、

お金 というのは初めてで面食らった。

だが、お接待は有難く戴きなさいと言われたのを思い起こし、受け取った。

250円ある。

 

こんなに戴いてありがとうだけでは、

何か他に言わなくては・・・  と思ったとたん、

 

「何か代わりにお願いしてきましょうか」 と、口から出た。

出てきた言葉に自分でびっくりしたが、

言われた方は、もっとびっくりしたに違いない。

 

「いえ、お寺ですので結構です。」

 

なるほどそう言われてみれば、袈裟こそないけれど、

和服姿で、頭は坊主だし、いかにもお寺さんと言う感じだ。

 

よりによって、とんでもない事を言ったものだ。恥ずかしい。

 

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四国の人は本当にお遍路さんに親切だ。

道をたずねても実に丁寧に教えてくれる。

 

ただ 「まだお若いのに。」と感心されるのには参る。

私のはそんな大層なものではないのだから。

 

「まだ娘さんのようじゃが、どこぞ体でも悪いんじゃろか。」

と言う気の毒そうなささやきが聞こえるにいたっては、冷や汗。

 

 

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8時40分立江寺を出る。

鶴林寺まで半分くらい来たところで、電器屋の車に声を掛けられた。

くたびれていたのでありがたく乗せてもらう。

 

ふもとからは歩いて上りたかったので、もうこの辺でと言うが、

私が遠慮してるのだと思って

「ついでですからもう少し行ってあげましょう。」と、

お寺の300メートルくらい手前でやっとおろしてくれた。

 

車の断り方は、難しい。

 

 

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鶴林寺発12時。

 

道は、初めは下りでそれほどでもなかったが、

後半は急な上りで岩や石がゴロゴロ。

大きな木が倒れて道をふさいでいたりで、

歩くというより よじ登るといった感じだった。

 

終わりごろには息が続かなくて 休んでばかり

太龍寺へは、"たどりついた" と言った方が良いだろう。

 

 

 

太龍寺は風格ある立派なお寺だった。

境内は広く、杉の木立が鬱蒼としている。

どっしりとした建物、周りに施された彫刻も素晴らしい。

山の中に、こんなお寺があることが信じられない。

 

 

 

尼さんが落ち葉を掃いている横の石段を上り、本堂へ。

丁寧にお参りして戻り、先の尼さんに納経をお願いする。

時計を見ると3時40分

ふもとのへんろ宿まで4キロある。

 

ここで泊めてもらえればいいのだが、

断られたときの気持ちを思うと、無理して下山できなくもないし・・・

 

考えあぐねていたら、

「これからどうなさいますか?」と 声をかけられた。

 

「ええ、下りようかどうしようか迷っているのですけれど、

こちらで泊めていただくことはできますか。」

 

「山のことですので、何のごちそうもできませんけれど、

よろしければどうぞ。」

それとはなしの、尼さんの親切ががうれしかった。

 

 

絵葉書を買って、みんなのところへ出した。

3枚目にかかった時、

 

「ごめんください、今晩泊めていただけませんか。」

若い男の人の声がした。

 

「こんにちはー。」

と部屋に入ってきた人を見てびっくりした。

 

F先生にそっくりなのだ。

言葉からすると、大阪の人だろう。

話し好きな人らしい。

 

霊山寺で私のことを聞いたと言う。

いろんなところを旅行しているようだ。

九時ごろまで話していった。

 

 

外はひどい雨になった

 

 

 

 

歩け!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

250円

知らない人から、お金を貰った初めての経験! 

 

当時、仕事帰りによく食べた駅前のラーメンが、確か130円だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し掛けてきた大半の人が、一度は回りたいと願っているようで、うらやましがられる

 

 

 

 

 

 

 

20番 鶴林寺

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遍路ころがし

20番鶴林寺と21番太龍寺への道も「遍路ころがし」の難所。

 

現在太龍寺へはロープウエイがあるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海抜600メートル

樹齢700年とも言われる杉木立の中に、立派な建物が点在している。

八十八箇所の中で

一番気に入った素敵なお寺

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そっくり

 

世の中に、似た人は3人はいるというが、実際に経験したのは初めてで、本当に驚いてしまった。

 

 

高校の時の尊敬する恩師にそっくりで、話しているときの雰囲気まで似ていた